娘が生まれてから6年間暮らしたところをあとにして引っ越した。同じ区内で、子どもの幼稚園や習い事が変わらない範囲なので、今までのように大きく地域が変わるというわけではない。なんなら出かけるときに度々通ってきた界隈なので周りがどういう道でつながっていて、どういうものがあるか、というのはなんとなくわかり、全然知らない土地というわけではないが、それでも新しい環境にわくわくしている。少し知っている地域だからこそ、本当に自分がそこに移り住んだのだという実感がなんとなくわきづらく、単に知らないところに移ってきたときとは違う不思議な感覚がある。まあこの感覚も慣れによってすぐ薄れてしまうだろう。とりあえずは荷解きして部屋を落ち着かせたい。
ちなみにこれが旧仕事部屋。向かって左側の見切れている先がすぐ壁で、間取り上は納戸とされているスペースであった。ここで仕事もしたし、プラモデルも組み立てた。本やコレクションもここに一緒におさまっていた。全てが手の届く範囲にあるという、ちょっとしたコクピットのような空間でこれはこれで悪くはなかったのだが、いかんせんぼくは身体が大きいので率直に言って窮屈さは否めない。かと言って、全然物のない空間というのもまた、ぼくは耐えられない。目で見て楽しい空間でないとぼくはやっていられないのである。この部屋で本当によく描いた。仕事が急激に伸びたのもこの部屋からである。新しい部屋ではもっと描くことになるだろう。
先代のポコが部屋にいる写真があればよかったのだが、見当たらなかった。部屋には出入りしていたが、別に写真に撮れるような空間ではなかったし。モグはきっと新しい部屋に居着くのだろう。ちなみにポコが息を引き取ったところを出ていくことについては、それほど思うことはない。そこでポコが死んだという事実は、ただでさえ染み付いていた生活のアカみたいなものに、余計に影を落としていたようにも思う。さっさと次に移るに限る。