幼稚園の聖劇(3年目)

 毎年恒例、幼稚園の聖劇を今年も観てきた。3歳児クラス、年少、と来て年中クラス、もうかれこれ3度目となる。3歳のときは序盤の天地創造で現れる小さな星々の役で、役といってもわけもわからず舞台に上げられて、星のキラキラに見立てたポンポンを振るというだけですぐ退場だったのだが、年少にあがった去年は、「救い主誕生を告げにきた天使とともに現れるたくさんの小天使」のひとりという役で(役柄からもわかるように登場はだいぶ後半になった)、振り付けや歌がついたことで一気にモチベーションも上がったらしく、不明瞭ながら「だびでのまち」とか「すくいぬし」とか「かいばおけ」というワードも覚えてきて、こういうお話の劇をやっているという理解がなんとなく出来てきていた(なによりやはり歌を歌うということが楽しいらしい)。
 そして年中の今年は、再び前半の登場、天地創造で生まれる木々のひとりである。木の役、などと聞くとフィクション上の戯画化された学芸会で「残念な役」として言及されることも多く、実際にはただの背景としての木に配役を振ることはほぼなさそうなのだが、この場合の木の役は擬人化されてセリフや歌、踊りもある(木の妖精とも言うべき擬人化の仕方なのでここだけとても多神教っぽい)。また去年は学年全員で同じ役だったが、今回は4人と、役と個人との結びつきがぐっと強くなった(だからこそ風邪をひきやすいこのシーズンにあって休ませられないというプレッシャーもあったが)。そのためか本人の気の入れようもなかなかであった。それどころか、繰り返し全体で練習しているのか、ほかの役のセリフもすっかり覚えていて、家に帰ってくるとひとり聖劇をよくやっていた(おかげで知恵の実を食べさせようとする蛇サタンのセリフを覚えてしまった)。
 来年は最後となるが、年長は単独登場やセリフも多く、さぞ楽しんでやることだろう。本人は聖母マリアの役に憧れているそうだが(絶対ないような気がする)、父は悪魔の役がいいと思っている。聖劇が終わったということはもう冬休みが始まってしまう。