Yurucamp △

TVシリーズを2期とも観てからずっと楽しみに待っていた劇場版、初日に観た。お馴染みの面々が大人になってからのお話というのを聞いたときは、あのモラトリアムの中でキャンプに行くのが楽しいのに、どうかな?などと思ったのだが、モラトリアムを飛び出して時間を前に進めた(別に高校時代を描いた本編も時間は進んでいるのだが)からこそ描ける「ゆるキャン」だった。

キャンプするだけだった高校生時代から、キャンプ場を作るという大人ならではのスケールアップもよかったし、ほぼなにもトラブルの起こらなかったTVシリーズに対して、ある程度の障壁も立ち塞がるのも劇場版という感じ(もちろんゆるキャンらしいゆるやかな障壁である)。ああいうタッチの作品なので、時間の経過を感じさせるのは少し難しそうだったが、それでもメインキャラたちには大人びた気配があったし、元から大人だったキャラ(親とか)もそれなりに老けた感じになっていた。なによりすっかり老犬となった「ちくわ」はそれら全体の時間経過の象徴とも言えて、こいつは明らかに最期に近づいている感じがしてハラハラしたのだが、それだけの時間が経っているのだということがわかりやすい。クライマックスで志摩りんが高校時代に乗っていたビーノと再会するシーンも同様で、傷だらけでどこか古ぼけたビーノが、TVシリーズから随分遠くまで走ってきたという感じを伝えていてよかった。

高校時代の楽しかった思い出を振り返りはするが、その再現を求めるだけでなく、成長してできることが増えたからこそ、経験を活かして新しいことをやってみるという前向きな感じが、ゆるキャンらしさもあっていいなと思った。ちなみにイラストは今作と関係ない、TVシリーズからお馴染みのイメージ。コミックも読み始めたが、これは寝る時に布団の中で読むのがいい。