Star Wars Visions


水曜からディズニープラスで配信が始まった『スター・ウォーズ ビジョンズ』。日本のアニメスタジオ数社がそれぞれの作風で手掛けた1話完結のオムニバス形式のシリーズなのだが、元々ぼくはSWを和物にアレンジしたアートなりフィギュアなりがあまり好みではなかったので、あまり期待をしていなかった。もっと言えば一作一作観るつもりもなかったのだが、水曜にシーズン丸ごと配信となったので全話観てしまった。で、これがとてもおもしろい。もう素直に謝るほかない。やはり余談は持たないほうがいいし、観てみないとわからないものである。

一作ごとにがらりとタッチが違うので、好みは分かれるところだが、それでも見慣れたSWのモチーフのアレンジやデフォルメの角度が新鮮で、ヴィジュアルのみならずストーリーもこれがおもしろいのである。本シリーズはいわゆるSWの正史には含まれないので、設定や時系列の制約がないところもかなりの自由度を与えている。とは言え、まるきりお馴染みの銀河からかけ離れたものではなく、帝国の支配する時代、帝国が滅んだ時代、いつかは特定できないがジェダイとシスが対立する時代、明らかにクローン大戦が終わって間もない頃など、ある程度はわかりやすい舞台設定となっているので、別に少し補足すればいくらでもSWの銀河史の中に組み込めそうな感じである。

似た作品として「スター・ウォーズ ビジョナリーズ」というコミックがかつてあった。これは『シスの復讐』公開の頃刊行されたもので、プリクエル三部作に関わったコンセプトアーティストたちがそれぞれの目線でSW世界の挿話を描いた、やはりオムニバス形式の作品集だった。これもかなり自由な発想で描かれていて、当時の正史としても扱われていなかった。が、下半身がサイボーグとなったダース・モールがタトゥーインに隠居するオビ=ワン・ケノービを追いかけてくるエピソードは、後のSWに大きな影響を与えていたり、インパクトのある作品が多い。

そこで思うのは、やはり表現をする人間というのはもっと自由な二次創作をしていいのだなということである。もちろん本編の設定と矛盾せず、正史となるタイムラインに違和感なく組み込める作品を作ることも、二次創作では重要だが、設定を無視してでも視野や発想を広げることも同じくらい大切なのだと思った。そうすることで二次創作と言えど、そこにオリジナリティを持たせることができる。ぼくももっと発想を広げ、好きな部分にフォーカスしたいものである。そういうわけで『ビジョンズ』、大いに刺激される作品だった。