父親の教えにより幼少期よりショベルカーのことを「ユンボ」と呼んでいたのだが、中学くらいに上がってもまだその癖が抜けず、うっかり同級生たちの前で油圧ショベルをユンボと呼んだら大笑いされた覚えがある。ぼくとしてはショベルカーという呼称のほうが全然馴染めないのだが(そもそもなぜ「シャベル」でなく「ショベル」なのか、そして「カー」か?)、大笑いしたからには彼らにはユンボという名称の意味するところとその呼称を使う層の属すセンス(年代?)みたいなものがわかっていたのだろう。あるいは単純に語感にちょっと可笑しい響きがあるせいか。で、ユンボというのは元々はフランスはシカム社製油圧ショベルの製品名で、のちに三菱が国産化する際にもユンボの名で発売したことから、油圧ショベルの代名詞として広まったらしい。当のシカム社も今ではユンボ社と名を変えている。つまりは油圧ショベル界のバンドエイドみたいなものである。ショベルカーをユンボと呼んでなんらおかしいことはないのである。ちなみにキャタピラー社にはユンボという名の製品はない。なにはともあれ、今後も恥じることなくユンボと呼んでいこう。ユンボのほうが、語感的に油圧ショベルの持つどっしりしたイメージと、繊細な動きをよく表している気がする。「ユン」がちょうど優雅なアームの部分、「ボ」が車体とそれが載るキャタピラのボリュームを感じさせる。ユンボ!と言いながら地面にどしんと着地しそうなイメージである。そんなところでどうだ。