Jet Alone


エヴァに出てくるエヴァ以外で好きな兵器の筆頭、ジェットアローン。TVシリーズにて、日本重化学工業共同体がネルフのエヴァに対抗して開発したロボット兵器として登場。通産省や防衛庁とも共同で開発しており、要するに特務機関ネルフの超法規的保護によって対使徒戦における旨味にありつけなくなった連中が手を組んで作ったということらしいのだが、そんな事情はともかくとしてこいつはロボットとしてかなり好みの造形で、かわいい。小さな頭部に長い腕、逆三角形の胸部にほっそりした脚、というプロポーションから、『天空の城ラピュタ』のロボット兵などが連想される。シルエットもさることながら、連節したベルト状の腕なんかも同じである。同時にぼくが強く既視感を覚えるのは、『スター・ウォーズ』シリーズのスーパー・バトルドロイドである。あれもラピュタから連なる系譜にいると思うが(厳密に言えばラピュタロボの前にフライシャーによるアニメ『スーパーマン』に登場する現金強奪ロボットが祖先にいるのだが)、頭部が半分胸部に埋まったような形はよりジェットアローンに近い。腕はベルト状ではないが、平べったく、手が連節したミトン型となっている。腰から胸部にかけてのフォルムも似ている。
そういう言ってみれば古典的なデザインもかわいくて好きなところだが、頭の周りにボルトがたくさん打たれているのがまたいい。リベットがたくさん打たれている昔の兵器っぽいところがデザインとも合わさってジェットアローンのキャラクターを立ている気がする。もちろん腕をひらひらさせながら延々と荒れ果てた平原を歩いているシルエットも好きだし、それを制止するために初号機が後ろから追いかけてくるところも本当におもしろい。
もうすっかりお馴染みの話になったが、愛すべきジェットアローンは『シン・エヴァ』にも登場している。冒頭で復旧されたユーロ・ネルフの兵装ビルの内部が8号機のビューポートに映し出されたとき、格納されている「予備パーツ」(逆三角形のボディに長い腕)にはっきり「JA-02」という文字が表示されており、このパーツが新2号機の身体を覆うことになる。重武装の新2号機の背中から伸びた(というか飛び出した)制御棒も、暴走したジェットアローンが背中から伸ばしていたそれと同じものだ(制御棒が外に飛び出すという演出は『破』における獣化モードでもやっていた)。
新劇場版におけるジェットアローンシリーズがどういう経緯でネルフの手に渡り、エヴァの予備パーツになったのかとても気になるところだが、ぼくは前々から新劇場版の世界線ではジェットアローンの開発責任者である時田シロウが、ミサトたちのヴィレに加わっているのではないかと勝手に妄想していた。ヴィレは対ネルフ組織であり、ネルフ以外のあらゆる組織が寄り集まっていると考えられるので、そこに旧日本重化学工業共同体の残党が加わっていても不思議はない。というかネルフに対抗する組織としてはヴィレよりも先輩に当たるし、旧劇場版でネルフ本部を蹂躙した戦略自衛隊よりも登場が早いわけで、ネルフ殲滅を目的とするヴィレの中枢にからんでいてもおかしくないのである。ちなみにヴィレの戦闘員の衣装は旧劇における戦自の隊員の格好と全く同じだったりする。このことからネルフには戦自からの流れも入っているのだろうと考えられる。つまり、かつてネルフの敵として登場した組織が、ネルフが悪役となった新劇では仲間になっているというわけだ。だから、実はAAAヴンダーの艦内のどこかには時田もいたのではないか。あるいは、すでに故人だが生前は碇ゲンドウのネルフに反旗を翻したミサトに協力していたのかもしれない。
などと考えていたので、ジェットアローンがこういう形で登場したのはとてもうれしい。