新劇場版ではメインキャラクターたち以外の人々への解像度がぐっと上がったわけだが、その顕著なシーンがネルフの作戦室だろう。これは『序』でも登場していた部屋だが、暗い中でテーブルの天板が発光しており、会議の参加者たちは下から顔を照らされ、中でもリツコの眼鏡が真っ白に反射したりしているのがとてもかっこいい。一体どういう経緯で貼っていったのかと突っ込みたくなる壁を覆う大量のメモや書類もいい感じだ。そして、メインの3人のクルー以外にもネルフ職員が顔を見せてくれると、組織としての奥行きが改めて感じられる(名も無いクルーたちの姿を見てうれしくなるのは旧劇場版で無惨に殺されていたせいでもあるだろうか)。
『破』は獣と化した弍号機や覚醒した初号機などがアイコニックではあるが、衛生軌道上から地表に向かって落下してくる使徒を受け止めるために、複数の落下予測地点に向かって一斉に駆け出すエヴァンゲリオンたちが好きである。クラウチングスタートから走り出した瞬間に体が前に一瞬よろめく描写のリアルさなどは息を呑んだものである。猛スピードで走る初号機をゆるやかにカーブさせるために要塞都市から傾斜した足場が次々と起き上がってくるのだが、新たにあの設備を作れるわけがないので、どういう想定であの位置にあれがあったのか、万能すぎる。