The Mandalorian :Chapter 9


「シーズン2第1話」と通し話数で「チャプター9」のふた通り呼び方があって面倒なのだが、ぼくはチャプターとほうをメインにしたい。「タトゥイーンにマンダロリアン がいる」と言われたら当然カークーンの大穴に落下したはずのボバ・フェットを連想するのだが、それを逆手に取った展開が上手。現れたのは確かにボバのヘルメットやアーマーを身につけてはいるが全然違うシルエット。

ジャワ族からボバの装備を手に入れたこの保安官なる人物、ボバのアーマーを借りてきただけなのだが、塗装の剥げ具合やジェットパックのダメージ、彼なりの着こなし方から立派に別のキャラクターが確立されているのがすごい。ジェットパックのロケット弾で悪党たちをスピーダーごと吹き飛ばすシーンは、アイアンマンが初陣でテロリストたちを退治するシーンと構図がそっくりで、さすがジョン・ファヴロー監督作。全体的にも映画並みの高級感が溢れ、巨大なクレイト・ドラゴンと小さな人物たちが同居する画面の構成、マンドーと保安官がジェットパックを自在に使って巨獣と渡り合うアクションなども目を見張る。着ているひとが違っても、ボバ・フェットの装いとマンドーの共闘は感動を覚えずにはおれない。やっぱりボバ・フェットの生みの親のひとりでありジェットパック好きのジョー・ジョンストンにも1話くらいは監督してほしくなる。

ジャワがサルラックから逃れたボバ・フェットの第一発見者だったらしいことは昔のコミックと同じ。アイデンティティであるアーマーを自分から捨てることはなさそうなので、水やなんかと引き換えにジャワに渡したのだろうと考えられるけれど、いずれは取り戻すつもりでもあるような気がする。5年もの月日が経っていることを思えば、すでにジャワがそれを手放していることは知っているのかもしれず、鎧を追って砂漠を彷徨っていたのだろうか。いずれにせよ今やそれを取り戻すには、マンドーと対峙しなければならない。