「SPUR」2020年7月号(集英社)
イラスト映画レビュー「銀幕リポート」第52回
『オクジャ』
劇場映画の動きが停止したので今月号は例によって配信で鑑賞できる作品の特集ということで、『パラサイト 半地下の家族』で何体ものオスカーを獲得したポン・ジュノ監督のSF・ファンタジーをピックアップ。イラストは2017年にリリースされたNetflixオリジナル作品『オクジャ』。世界中の農場に配られ、成長を品評されることになった新種のスーパーピッグたち。月日は経ち、韓国の山奥ですくすく育った「オクジャ」が優勝することに。しかし、ともに育った少女ミジャはオクジャが食用として出荷されてしまうことを知って激怒。ソウルに運ばれたオクジャを追うが、過激な動物愛護団体やスーパーピッグのオーナーである企業の思惑に翻弄され、やがて舞台はニューヨークに……。
イラストではオクジャの巨大さをできるだけ強調。動物ものは楽しいが、それが架空の動物ともなるとより楽しい。どうやらポン・ジュノ監督というひとは元々漫画家志望でもあったらしく、コミック的な雰囲気は随所に感じられる。特集で挙げられた残り二本は『スノーピアサー』と『グエムル-漢江の怪物-』だけれど、『スノーピアサー』同様ティルダ・スウィントンの悪役ぶりがおもしろい。