『マンダロリアン』第2話

 船が壊されたので直した、というだけのひと休み的な話だが、タイトルの通り「ザ・チャイルド」(日本語的にどうも不自然なので「子ども」と呼んでいいだろうか)が一体何者なのか予感させる第2話である。とは言え個人的にはジャワ回だと思う。

 おもしろいのはジャワがタトゥイーン以外にも入植していたということで(第1話の時点でも主人公が拠点を置く惑星ネヴァロの雑踏に姿があった)、彼らはオフワールド・ジャワという呼ばれる。オフワールドというからにはやはりタトゥイーンから外へ散らばっているということなのだろうけれど、気になるのは入植先でもサンドクローラーに乗っていることであり、当然あの大型車両を運べるだけの宇宙船が使われたということである。彼らがそんな船をかつて持っていたのか、あるいは他の種族から助けを借りたのか、ただでさえ素顔が隠されたジャワ族の謎が深まる。

 謎は多いままだが、今回はサンドクローラーの操縦席が見られたところがうれしい。宇宙船のようなハイテクさはなく、ラッパ型の伝声管まであるところがジャワっぽくていい。屋根の上に日除けがあったりしてデッキのようになっているアレンジも、タトゥイーンのサンドクローラーとは同型でも別物として工夫されている。『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』そのまんまのキャタピラや岩をかわすアクションも、お馴染みのモチーフに新鮮味を与えていると思う。

 ちなみにタトゥイーンのサンドクローラー自体は、かつてあそこに貴重な鉱脈があると聞きつけてやってきた夢想家たちが持ち込んだ作業・運搬車であり、結局なにも見つけられなかった彼らが引き上げる際に放置していったものを、ジャワたちが使っているという設定だ。それよりも前のジャワの生活はどうだったのだろうか。デューバックやロント、イオピーといった動物で廃品を運搬していたのだろうか。サンドクローラーを手に入れたことで廃品回収とその販売が効率化し、それによって得た利益や物々交換の末によその惑星に出ていく機会を得たのかもしれない。彼ら自身が宇宙船を持っていたというよりは、取引によって運んでもらったと考えるほうがジャワっぽいかもしれないが、ジャワたちが廃品から作り上げたオンボロの船、みたいなのもちょっと見たい気もする。 

 ジャワに奪われた宇宙船の部品を取り戻すため、マンドーは彼らの要求を飲むことになるが、それはマッドホーンという泥だらけの洞窟に住む猛獣の卵を取ってくること。当然親である成獣と一戦交えるのだが、凶暴な巨体に加え泥だらけの地形によって苦戦を強いられる。このマッドホーン、要するにサイなのだが、マンダロリアン(のアーマーを着た者)とサイ型クリーチャーという構図に見覚えがないだろうか。そう、『クローンの攻撃』でのジャンゴ・フェットとリークの戦いだ。惑星ジオノーシスの闘技場でジェダイたちとドロイド軍が衝突する中、ジャンゴ・フェットは処刑用の猛獣リークに追われているメイス・ウィンドウを奇襲しようとするが、かえってリークに襲われてしまう。角で突き飛ばされた挙句腹の下で転がされるのだが、このときジェットパックが損傷してしまったため、ジェダイ・マスターのライトセイバーから逃げることができず、最期を迎えることになるのだ。

 そういうわけで今回もマンドーにフェット関連のイメージを重ねているのだが、ジャンゴはたった一発急所に命中させてリークを始末したのに対し、マンドーはなかなかそうはいかず、苦戦の末に泥の中で意識を失いかける。ところが、死さえ覚悟したその瞬間、マッドホーンの巨体が宙に浮かび上がり、猛獣の動きが封じ込まれた。なにが起こったのかを示すのは、猛獣に向かって離れたところから手をかざしている「子ども」の姿だけだった……。

 ヨーダの種族であれば当然予想できることだが、「子ども」はフォース感知能力を持っていたことが明らかになる。それも相当強い。リークに襲われ、ジェダイ・マスターに殺されてしまったジャンゴに対し、マンドーはフォースの助けを借りてマッドホーンにとどめを刺したわけだが、賞金稼ぎとフォースに恵まれた子ども、不思議な組み合わせである上に今までにない関係が築かれていくようだ。