Heavy Infantry Mandalorian

 『マンダロリアン』第3話より、重武装のマンダロリアン戦士。装備がなくともずっしりとした体型だが、声はジョン・ファヴローが当てている。帝国残党からの仕事(フォース感知能力を持つ「長寿種族」の子どもの身柄確保)を完了した主人公は、報酬として大量のべスカーを受け取る。マンダロリアン・アイアンとも呼ばれる鋼鉄で、マンダロリアン戦士の特徴的な鎧の原料だ。べスカーの入手は滅び去った戦士文明の復興の足掛かりとなるが、これを隠れ家に持ち帰った主人公は、かつて自分たちを滅した帝国から仕事をもらい、さらに帝国が自分たちから奪ったべスカーを報酬として受け取ってやがるということで、この重歩兵からやっかみを受けることになる。危うく喧嘩になりそうなところをまとめ役の戦士が制止するのだが、このとき発せられるのが「This is The Way」(我らの道)という合言葉。これを聞いた戦士たちはすぐに態度を改め、自分たちの目的と団結の重要さを再確認する。

 本国で配信された途端早くも傑作と呼び声が高かった第3話だが、全くもってその通り。子どもを帝国に渡して報酬を受け取った主人公が、賞金稼ぎとしてのプロ意識と個人的な感情とを天秤にかけ、そのうちに自身も孤児であったこと、そして賞金稼ぎである以前に気高い戦士であることを思い出し、ついに帝国残党のアジトを襲撃して子どもを奪還する展開、とにかく盛り上がる。ボバ・フェットでもお馴染みの装備を駆使してストームトルーパーをどんどん倒していくが、自分と同じように帝国から子どもの確保を依頼されていた賞金稼ぎギルドのメンバーたちからの攻撃も受け、絶体絶命。子どもを抱えたままもうダメかというそのとき、頭上から何人ものマンダロリアンたちがジェットパックで飛来する。仲間の危機にかけつけるマンダロリアンたちという絵だけで大興奮の展開だが、自分自身で帝国の残党やギルドを敵にまわしてしまったたったひとりを助けるために、安全な隠れ家を犠牲にして皆で外に飛び出してきたというところが熱い。主人公が隠れ家のことを気にかけると、重歩兵はただ一言「This is The Way」と応える。それは強い仲間意識からなのか、それとも子どもを守ることが戦士たちの共通理念なのか(隠れ家のシーンで子どもたちは「一族」の未来として大切にされていた)。いずれにせよ彼らは大きな犠牲を払ってでも、自分たちを危険に晒してでもそれが正しいと思ったからそうしたのだ。このドラマ、確実にマンダロリアン戦士をジェダイ騎士に次ぐ、いやそれに並ぶヒーローに押し上げるに違いない。そして戦士たちの合言葉はフォースの挨拶と同様の名台詞となるはずだ。

 たった3話の段階でここまで夢中にさせてくれるとは。なによりすでにあるSW世界の使い方が上手だ。小道具や種族はもちろん、主人公が子どもの頃クローン大戦の戦火に巻き込まれたということでプリクエル時代の要素を拾ったり、背景に『フォースの覚醒』に登場した宇宙船や種族を配するなどして、見事9部作全てがここに合流していると言える。これまで違う三部作ごとの世界観が融合する光景は主にアニメで見せられてきたが、映画と同じフォーマットである実写映像で目の当たりにするとなにかこみ上げるものがある。映画の世界観を補足し、統合し、また奥行きを広げてくれるのがスピンオフの醍醐味。『マンダロリアン』はその役割を果たしつつ、その上で新しい冒険活劇として仕上がっているからおもしろい。