SWCJ Costumes

 先に書いた「Report」でも触れたが、今回のSWCJはぼくが初めてなんとかコスプレと呼べるような格好で参加した初めてのイベントとなった。今にして思えば完成度や運搬の都合などお構いなしになにか作りたかったとも思うのだが、購入したアイテムが中心とは言えそれなりに加工に時間がかかったし、写真を見返してみてもそれなりに他のキャラクターたちに見劣りしていない気もしたので、これはこれでよかったと思う。
 ということで装備の内訳や制作について記録しておきたいと思う。

・Friday – Imperial Bridge Crew

 初日、18日金曜日はインペリアル・ブリッジ・クルー。これはもう帝国軍の顔出し組の中で一番容易いのはなにかと考えた際に、ジャンプスーツのひとたちが手軽な印象なのでやってみた次第である。ジャンプスーツに制帽を合わせればスター・デストロイヤーの艦橋で仕事をしているブリッジ・クルーになるし、ネイビー・トルーパーやガンナーのヘルメットをかぶればデス・スターの兵器技師や砲手になる。またこれはTIEファイターのパイロットのフライトスーツでもあるので、そのヘルメットとチェストボックス等の装備を被せればパイロットにもなる(ブリッジ・クルーと全く同じでも、出撃していないパイロットと言い張ることも可能)ので、とにかく帝国宇宙軍の基本的なユニフォームとして汎用性が高い。

 ちなみに灰色のものも出番が多く、艦橋のオペレーターたちは灰色のジャンプスーツに佐官と同じカーキの制帽を被ったりしているほか、黒の制帽を合わせればスキャニング・クルーにもなる(『新たなる希望』で牽引収容したミレニアム・ファルコンの内部を調べようとしたひとたち。EP4に登場したジャンプスーツ+制帽のスタイルは彼らのみなので、黒スーツの連中より出番が早い)。
 ぼくが使ったプロダクトはOEM製品で、Amazonで購入できるものだ(制帽とベルトも同様)。正直よくわからない製品だが、評価はそこそこ高いし生地も結構しっかりしている。だが本式で活動しているひとたちのものに比べるとやはり細部は異なる。手首にあるコムパッドを入れるポケットが極端に小さいところが顕著だろうか。著名な団体501stの審査基準には満たないだろうというレビューもあった。

 またぼくとしてはLサイズがぴったりだったはずだが、急にそれが品切れとなってしまい、仕方なくXLを買って妻にサイズを詰めてもらった。シルエット優先で詰めてもらったので結構かっこよくなったのだが、実際に会場で着て歩き回ってみると途中からきつくなった。そもそもツナギ自体を着慣れていないので、全ての動作に全身が引っ張られる感覚がこたえた(ちゃんとした作業向けのツナギだとこの負荷がかからないように背中等の適所に蛇腹部分が入って緩衝となるらしい)。中古フィギュアを売っているブースなどで足元に置いてある箱の中を見るのにしゃがんだりすると、立ち上がれなくなったのにはびっくりした。そのまま後ろに転げるかと思った。

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 コムパッドはボール紙に手描きした。こういうのもラバー製の小物がEtsyなどで売られているのだが、平面的なものは描くことで済ませたいと思った。もしパイロットやダース・ヴェイダーをやるとしたら、チェストボックスもこんな感じでディテールを手描きしたいと思っている。このポケット枠の大きさに合わせるため自作しないとしょうがないところもあった。ポケットの大きさの都合でボタンの配置などは少しアレンジしている(本当はもっと長方形で大きい)。

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 パイロット系特有の、肩ポケットに入っているシリンダー。スムージーやタピオカミルクティー向けの太めのプラスチック・ストローにボール紙を巻き付けて、シルバーで塗装しただけだが、これが肩に差さっているだけでかなりそれらしく見えてテンションが上がった。これもやはりEtsyでプロップに近いものが売られていたが、金属製の棒なので重そうではある。こだわればきりがないものだ。

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 ベルトもだいぶ安っぽい作りで、ぼくはどうもコスプレのために中途半端な服飾類を買うことにかなり抵抗があるらしい。まあでもバックルはぱっと見そのものなので、今後も使えるだろう。とにかくベルト部分を他のものに変えたいと思っている。で、この銀色の箱だが、ベルト・ボックスと言われているパーツでこれもちゃんとしたものを求めることができるのだが、ただの箱でしかないので、そのへんのもので代用すれば十分ではないかと思い、100円均一のトレカケースを銀色に塗装して代用した。ただ、いくらプロップがシンプルな形をしているといっても、全く同じようなものは案外見つからないものだ。本当は背面に幅の広いクリップがついていて、それでベルトを挟むらしいのだが、そのクリップにちょうどいいものがとにかく見つからなかった。結局ボール紙でベルト幅に合う平型の筒を作り、それをケースの裏に貼り付け、ベルトに通す形でごまかした。ベルト・ボックスが着いていれば様にはなるが、別に無くても成立する箇所ではある。

・Saturday – Rogue Scout

 19日土曜日、中日ということでこれが本命でもある。名付けてローグ・スカウト。基本的には初日と同じジャンプスーツに、ベストやヘルメットを合わせて別のものに仕立て上げた感じだ(設定上は同一人物でもいいと思っている。撃破されたスター・デストロイヤーから脱出したブリッジ・クルーがエンドアに墜落、森を生き延びるうちに死んだスカウト・トルーパーのヘルメットを手に入れて……といった具合だ)。帝国軍という軸はそのままに、しかし反乱軍や賞金稼ぎのような雑多さ、汚さも持たせたいと思ったとき、敗戦後のインペリアル・レムナント(残党)という背景がもってこいのように思えた。「マンダロリアン」のコンセプト・アーティスト、ブライアン・マティアスが描いたレムナント・トルーパーたちの絵に魅了されたコスプレイヤーは数多い。所々アーマーが無くなってジャンプスーツや肌が露出していたり、ミリタリーコートのようなものを着ていたりといった、秩序が失われ傭兵と化したストームトルーパーたちのイメージだ。あそこには新しい帝国軍のイメージがあった。

 『ローグ・ワン』に登場するパルチザンのメンバーにも、スカウト・トルーパーのヘルメットを被り、首から下はミリタリーコーデで決めたかっこいいやつがいる。マーセナリーなキャラクターを考えるならああいうふうにしたいものだ。正規軍で使われているのと同じものが、本来のイメージではあり得ないくらいに汚れたりカスタムされているというのはおもしろい。賞金稼ぎのデンガーが茶色く変色した帝国軍のアーマーを着ているのを知ったときからそう思っていた。マンドーことディン・ジャリンにしても、初登場時にはアーマーに所々トルーパーのピースが使われていたはずだ。全身銀ピカのフルベスカーの完成形よりあちらのほうが好みではあった。

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 ヘルメットはハズブロ社製、ブラックシリーズのもの。値段が手頃かつ玩具としてロールプレイング向けなのでもってこいと思うのだが、これも玩具独自の解釈がふんだんに入っているので、プロップに近いものを求める場合にはやはり物足りなくなるらしい。どのトルーパーでもそうなのだが、少しでも部分的な寸法が変わるとまるで違う表情になるので、わからないでもない。まあでも手に入りやすい点は重要だ。

 もっとリアルスタイルな汚し方をするつもりだったのだが、当然ながらライフサイズのものを塗るというのはプラモデルのようにはいかない。また象徴的な白い装甲をある程度は残したいと思ったときに、イラストのように記号的な汚れを「描く」ことを思いついた。フィギュアやレゴのミニフィグにデフォルトで描かれているのと同じようなものだ。ある意味逃げたようなところもあるが、自分らしい感じにはなったと思う。星柄は雰囲気を壊さない程度に入れた。また左右の側頭部にはそれぞれステッカーで記号を入れたのだが、右側は賞金稼ぎボスクのフライトスーツの肩に入っていたパッチ、左側はブーシのヘルメットに入っている記号化された「1138」からの引用である。もっとこういったパッチ的なものをいろいろ入れてもよかったと思う。ヘルメットの塗装、デコレーションについてはいまひとつどの方向にも決めかねたので、少し中途半端な印象になってしまった。また今度考えをかためて塗り直したいと思っている。

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 おそらく今回のコスプレで一番自分で作り込んだのは、このエレクトロ・バイノキュラーだろう。100円均一の小物入れを二つ繋ぎ合わせ、木製のマドラーやサプリメントなどのボトル容器のキャップを貼り付けてそれらしくした。細部にはレゴのパーツやプラモデルの戦車のホイールなども使っている。いわゆるミキシングみたいなことに近いことが出来ただろうか。日常的に目にする関係のないパーツをこういうアイテムのああいう部分に使えそうだ、などという目線で見る力は少し伸びた気がする。とは言えその目線で100円ショップの棚を眺め続けるのはなかなか疲れるので、できれば日頃から気になったものは少しずつ取っておくという習慣をつけたほうがよさそうだ。ゴミを溜め込むことにならなければいいと思う。キャップ類や余ったプラモデルのパーツ、変わった形をしたブリスター、塗装さえうまくできればそれらしくなるというものだ。3Dプリンターが気軽に扱える環境でもなければそのスキルもないので、昔ながらの方法でやるしかない。

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 ベストは海外のファンメイド。海外には特定の著名なキャラクターではなく、特に誰ということもないがあの世界にいそうなひと、ありそうなギア、がひとつのジャンルとなっている。SWでは定番のベストやポンチョなどがわかりやすいか。そういった無名の銀河市民を再現するコスプレチームもあるくらいで、映画の中、たとえば酒場の背景にいてもおかしくないクオリティを磨いているひとが大勢いる。思い思いの衣装を用意するだけでなく、そのキャラクターが何者なのかという設定の創作も必須となるのがまた楽しいところだ。設定がなければ説得力のある姿にはなるまい。そして、大抵の場合はジェダイやマンダロリアンなど、ヒーロー的なキャラクターは避けられ(ひとりでやる分にはもちろん自由だが、著名なところではBurgundy Squadronがそういった制約を設けている)、背景キャラとしての枠を逸脱しないバランスと唯一無二の個性を両立させなければならないという奥深さがある。それはSWの衣装を作ることであると同時に、その世界に自然に入り込むということでもある。素晴らしいロールプレイングだ。

 このベストも、同じものが映画に登場することはないのにも関わらず、ひと目でSWのベストとわかるクオリティだ。胸についている用途不明のプレートもいいし(謎の機械基盤が貼り付いているというのもSWアパレルの定番である)、背中の筒の列もそれらしい雰囲気(ハン・ソロのベストにもあるがここに弾薬でも差し込むのだろうか)。下になにを着るかも考えなければならないが、これが一着あるだけでスマグラーの雰囲気を出すには十分である。公式には存在しないものでもそれらしく見えるというのは、SWの世界が確固たる存在感と奥行きを築き上げている証である。

 普段着やまだ未加工だったヘルメットと適当に合わせた際のもの。すでにそれらしい雰囲気が出ている。大事にしよう。

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 E-11ブラスター・ライフルは一時期東京ディズニーランドでも購入できた玩具をリペイントした。元々はストームトルーパーをイメージした白黒の配色だったが、後述のボバ・フェットのEE-3カービン・ライフルに比べるとあまりかわいい配色ではなかったので、もっとわかりやすい色に塗った。黒にしてしまう考えもあって、おそらくそれが一番間違いない気もしたが、イベントの方針上、先端をオレンジ色にしなければならなかったので(元からそこはオレンジだったので加工の必要はなかった)どうせなら全体を玩具らしくしてしまおうと思った。ヴィンテージ・ケナーのフィギュアが持っているブラスターの色合いをイメージしてこの色にした。イベント後、結構塗装が剥げてきてしまっていたので、また改めてリアルスタイルな色にしてもいいなと思い始めている。

 ちなみに元の玩具は通常のレーザー発射音(と発光)に加え、スタンモードへの切り替えが可能で、レイア姫を気絶させる際の青いビームの音(「ピチューン」)も出せるという凝ったつくりだった。ただ、個人的にはPCゲームの「ギャラクティック・バトル・グラウンド」を一時期プレイしていたせいもあって、このスタンビームの音はどうしてもバンサをキャプチャーして家畜にする際の効果音としての印象が強い。

・Sunday – Fanboy “M”

 最終日、20日日曜日はもう極力軽いもので楽に過ごしたかったので、普通の服(普通の服ではないが)の上にボバ・フェットのヘルメットのみのファンボーイということにした。「ファンボーイズ」でも「ビッグバン★セオリー」でもいいのだが、ファンの典型みたいなものを誇張してヴィジュアル化するのもこういった祭典に適しているのではないかと思った。私服にヘルメット(とブラスター)のみといった単純な構成ではあるが、調和は取れていると思う。ヘルメットを自分なりに塗装できたのもよかった。EE-3もE-11同様に塗るはずだったが、これはこの配色のままでも、おもちゃらしくていいように思った(時間も足りなかった)。

 こちらもスカウト・トルーパー同様ハズブロ社製ブラックシリーズのヘルメットをリペイントした。元々はリアーマード版、つまり「マンダロリアン」で復活した際の、サルラックの胃酸によって剥げた塗装を塗り直したあとのバージョンだったのだが、金型自体は最初に発売された『帝国の逆襲』版と同じようで、傷跡のモールドなどはそのままだったので、ESB版としてリペイントしようと前から思っていた。ただ、正面からESB版を目指そうとするとまた深みにはまってしまう恐れがある。どうせならこれもわかりやすいグリーンを使って、ボバの典型のようなイメージにできないかと考え、このようになった。銀の剥げがモーフィングのように星柄に変化しているアイデアは自分でも気に入っている。後頭部は思い切り遊んだ。

 配色シミュレーションの図。普通こういうのは線画をひとつ作ってデジタルで色をつけて複数パターンを作るべきなのだが面倒なので延々こうしてボバ・フェットを描いては塗っていた(どっちが面倒なんだ)。ボバ・フェットのカラーリングというのは映画以外を含めるととにかく多様であり、そのどれもが大変に魅力的である。特にぼくは「ウーキー物語」版(いわゆる「ホリデー・スペシャル」版)、ヴィンテージ・ケナー版、クラシック・マーベル版といった映画とは違う色のものが好きなので、最初はそのどれかにしようとも考えていた。

 しかし、ホリスペ版もケナー版も、全身の配色があって初めて成立するところがある。黄色いチェストプレートとの組み合わせでないと、水色のヘルメットだけではホリスペ版らしく見えない。クラシック・マーベル版は比較的典型的なグリーンのボバのイメージに近く、なんなら同じくクラシック・マーベルに登場するマンダロリアン、フェン・シサなどの配色もなかなかいい(クラシック・マーベルに登場する最初期のマンダロリアンたちはバージョン違いのボバ・フェットたちという出立ちで、今日のマンダロリアン像とは少し違う)。バイザーの赤い縁の上部のみが黄色くなっているものなどはフェン・シサである。アル・ウィリアムソンが描いたボバ・フェットにはだいたいこういう色がついていた(ウィリアムソンはインカーなので配色はまた別の人間が考えているのだろうけれど)。

 丸きり好きな色、もしくは創作したマンダロリアンにするのも手だったが、頭部にある凹みの造形がどうしてもこれをボバ・フェットと特定してしまっているので、あくまでボバの枠を出ないようこだわった次第だ。

 今振り返ってみてなにより思うのは、コスプレとは体力だなということ。なにをするにも筋肉、筋肉、体力、体力である。腹立たしいが事実である。体力がないとなんにもならない。準備する段階からしてそうだ。これは妻に言われて気づいたことだが、幕張から帰ったぼくはなんとなく痩せた印象だったらしい。二日ほど不慣れなジャンプスーツで過ごしたら、身体のむくみが少し取れたのかもしれない。下から上までトルーパーの装甲に身を包んでいたらどうなっていたのだろうか?そもそも、映画で使われている衣装はあれを着て実際に戦えるようものでもなければ、ましてや一日中イベント会場を歩き回れるようにも出来ていない。いろいろな意味で、コスプレとは単に映画の衣装を再現することではないようだ。

 もうひとつは、家で工作しているときと、イベント会場とでは空間のスケールが違うので、かなり印象が異なるということだ。あれだけ時間をかけて塗装したヘルメットも、現場では4割ほど印象が薄れるような具合だ。逆に言えば、一見それっぽく見えればそれで十分なところもあるのだろう。ベルトにつけてるボックスがトレカのケースでも誰も気にも留めない。部屋で作業しているときに気になったクオリティなど、あの場では全くと言っていいほど問題にならなかったように思う(もちろんよく出来たものはよく出来て見える)。手を抜いていいということではないが、あまり根を詰めてこだわる必要はないように感じた。まあ結局そういうのは最終的に自分が納得するかどうかになってしまうのだよな。

 目立てばいいということでもないが、思っていたより印象が薄い、迫力に欠けてしまうというのは勿体無い。おそらく自室の環境では少し派手すぎるように感じるほうが、ああいった会場ではちょうどいい見栄えになるのかもしれない。行ってみないとわからないことは多い。いろいろと気づくことが多かったが、もっと好きなモチーフに対して正直になっていいのだということは最も強く感じた。まだまだやってみたい格好がたくさんある。あれもこれもと思い浮かべているだけでも先が楽しみになってくる。