Star Wars Celebration Japan 2025 Report

 4月の18日金曜日から20日日曜日までの三日間、幕張メッセで開催された「スター・ウォーズ セレブレーション」から3ヶ月経とうとしているが、なんらかの形でまとめなければ夏を迎えられない気がしたので、なんとか気の済むボリュームで描き出してみた。

 会場ではステージやパネルの観覧、セレブリティとのグリーティングなどをしていないし、どこでなにが行われていたかをあまり把握できずに過ごしていたので(何人もの有志が極力見やすいタイムテーブルを作って公開してくれていたことは知っているが、いかんせんぼくはタイムテーブルや表を理解する能力が著しく低い)、少し位置が低く、狭い視点での記録になるが、その場では自分なりに楽しめたのではないかと思う。

 子どもの頃のハロウィーンを別とすれば(それもSWの格好だったが)初めてコスプレで参加したイベントとなった。せっかくのセレブレーションなので、開催決定時からなにかの格好をしたいと思っていたが、結局年が明けるまで準備をするモチベーションになれなかった。2月頃からSWAG(後述)の準備と合わせて、いよいよなにか衣装が要るように思い、可能な範囲で揃えたのがこんな具合である。購入したものに少し手を加えたものが中心だが、それだけでも結構時間がかかったので、やっぱりこういうことにはモチベーションを持続させ、限られた時間で絶えず作業を続けるだけのエネルギーが必要なのだろう。
 写真による衣装やアイテムの説明はこちらから。

 2008年開催時にもいたらしいデューバック。この隣にいたバンサもそうだが、一体どうやって運んでくるのだろうか。アードマンの人形が見られたのは「ヴィジョンズ」のブース。「ヴィジョンズ」は多様なアニメーション・スタジオがそれぞれのヴィジョンでSWを描くシリーズだが、最初のシーズンは全話を日本のスタジオが手がけたので、日本開催ということもあってその制作資料やアイテムを中心に展示していた。全体的にも特に力が入ったブースだったのではないか。

「ロボット・チキン」の人形は、Heritage Auctionsのブースに展示されていて、皇帝の他にもダース・ヴェイダー、ボバ・フェット、ストームトルーパーと、「ロボット・チキン」ではお馴染みのギャグキャラが揃っていた。アニメ自体ももう結構前のものになるためか、人形たちもかなり年季が入っていて、歴史を感じたが、なにより意外だったのは、それほど大きな人形ではなかったことだ。てっきり12インチ(1/6)くらいの大きさだと思っていたのだが(ストップモーションアニメの人形は衣装や小道具の制作や撮影のしやすさから大抵そのくらいの大きさだし、SWは12インチのフィギュアが定番ラインとして市販されているので応用しているのではないかとも思っていた)、実際は8〜7インチ(だいたい1/10か)くらいの印象だった。皇帝が今にも「藁の上の七面鳥」を弾き始めそうである。

 個人的にほとんどメインイベントと言えたSWAGトレーディング。SWAGとは「Stuff We All Get /Give」の略とも言われ、無料の配布物やノベルティのことと考えればいいらしいのだが、SWセレブレーションではファン同士が自作のグッズを交換して交流する文化として盛んだそうだ。立体物から印刷物まで形態はそのひと次第だから非常に多種多様なのだが、絵が描けるからにはやらない手はない、ということで珍しく印刷サービスに自分で発注してステッカーを作ったのだった。

 『シスの復讐』公開20周年の年に日本での開催、ということで絵柄はこの3種にした。最終的に全て人手に渡っていったが、おそらくARC-170、アナキン、オビ=ワンの順で無くなったように思う。配布・交換している間はそれほどムラは感じなかったが、無くなった順番を思うと、やはりクローンはジェダイヒーローを差し置いて人気だったらしい。アナキンかオビ=ワンかで迷うひとも多く、どちらも同じくらい選ばれていたように感じる。このひとはアナキンかな?と特になんの根拠もなく思っていると、その通りだったり違ったりというのが楽しくもあり、あの短い時間でもぼくにはだいぶ濃い交流の時間だった。ぼくはそう思っている。

 大勢のひとと出会うことができたが、ぼくのことを知っていて声をかけてくれるひとも多くて驚き、感激だった。去年からSWのファンアートに海外からもたくさんのリアクションがつくようになったが(ルーカスフィルムのクリエイティヴ・アート・マネージャー、フィル・ショスタク氏をはじめ著名なファンやポッドキャスト配信者が毎回リポストしてくれるおかげだ、本当に光栄なことである)、現実にあれだけたくさんの方から言葉をかけられると、画面の前に座っているだけではわかるわけのない大きな実感があった。日々描いていてよかったと思う。

 ぼくのことを探してくれて、ようやく見つけられたというひとには感激とともに恐縮もしたが、探してくれたのに会うことができなかったひとには申し訳ない気持ちでいっぱいである。もっと居場所をアピールしたり、ひとが集まっているところに行ければよかったのだが、いかんせん思うように動けなかったというのがやはり大きいように思う。

 他のコスプレのひとと写真を撮らせてもらったのも楽しかった。本格的なコスチュームだと、ぼくのようにおいそれと頭部の被り物を脱ぐことができないし、またどのように言葉を交わしていいかわからない場合もあり、さらには何か渡すのが迷惑かもしれないというようなこともあって、せっかく撮ってもらったのにお礼や挨拶としてSWAGを渡しそびれるということも少なくなかったので、それも反省している。この後日談というか続きとして、5月4日のSWデーの横浜で、幕張では接触できなかったひとと挨拶や交換ができたが、海外のひととはもう当分会えないことを思うと、後悔は大きい。

 ともかく、SWAGやコスプレを通してたくさんの出会いが得られた。海外のコスプレイヤーとも、その後SNSで連絡がつき、一緒に撮ってもらった写真の掲載許可をとるついでに少しやりとりもできて、イベントが終わった後の1週間はかなりの量の英語のメッセージを書いていたと思う。翻訳アプリの助けがなければとても読めたものにはならないが、それでも英語そのものを肌で感じることはできたのではないか、耳や目がほんの少しだけ慣れることができたのではないかと、ものすごく緩い基準を許してもらえるなら、だいぶ明るい展望を持つに至っている。

 もちろん国内のSWファンの方にもたくさん会えた。前述のようにイラストを見てくれていると声をかけてくれた方もいたし、普段遠くから眺めていたようなひととも思いがけず接点を持てたりもしてうれしかった。ぼくはどこかファンダムには距離を感じる方だったのだが、それは自分の中のSWに固執するあまり、自分の方から勝手に距離を取っていたせいではなかったか。言うまでもなく閉じていたのは自分の方で、大抵のことがそうであるように、自分の態度次第でどうとでも道は開いていくものなのかもしれない。これまでもこれからも、ぼくはひとりではない。おさびし山から降りてきた怪物はやはり勝手にそう思うのであった。

 自分の中のSWを大切にすることそれ自体は悪いことではないだろう。しかし他人を避けてまでそれに固執することがいかにナンセンスかは、あのような場所であのような熱を感じれば嫌というほど思い知ることになる。数々のコスプレの多様さや自由さが特に象徴的だ。映画に登場するのとそっくりなものから、アニメキャラの再現(つまり本物の衣装は存在しない)、カラーリングのアレンジ、自分の創造したキャラクター、他の作品とマッシュアップしたもの(これがそれなりに衝撃を受けている)、ギャグ、ハンドメイド、超大型等、正解はない。ファンの数だけSWがあった。ぼくの衣装もそれなりにオリジナルで考えたものだが、もっとやれることはあった。完成度など二の次で、もっとイメージに従順になってもよかった。絵を描く人間がそうしないでどうするというのだ。

 そういう思い思いのSW観に触れると、自然に作品としてのSWも全てがフラットに思えてくる。旧三部作、プリクエルにシークエル、アニメ、ドラマ、全媒体のスピンオフ(そこに相互矛盾があろうとなかろうと)、カノンとレジェンズ、レゴのアニメ、「ヤング・ジェダイ・アドベンチャー」も「イウォーク物語」も、全て等しくSWだった。全てによってSWが成り立っているのだと改めて感じる。部屋でひとりでディズニープラスを観ながら文句を言っているだけでは永久にわかるわけのないこのことを、よく覚えておきたいと思う。

 最後におまけで購入したもの(の一部)。ホットトイズやメディコムトイ、レゴなどのメジャー企業ブースはかなり並ばないと入れなかったので(時間帯によっては違ったようだが)、代わりに細かい出店ブースで往年のグッズをディグった。やはりフィギュアディグはやらなければ気が済まない。SWAG参加以外ではこれも大きな目的だったので、収穫には満足している。特に「A NEW DOPE」さんには三日間連日通った。ヴィンテージ・ケナーがルースで何体か買えたが、中でも銀ピカのデス・スター・ドロイドがうれしい。こちらで買ったIG-88と、海外のストア(マップやリストを見返したがやはり詳細不明)で買ったデンガーを合わせて、手持ちのオールド・ケナー版バウンティハンターは全員揃った(復刻のレトロコレクションと実際の当時もので半々という感じ)。

 見てまわった感じだと、やはりヴィンテージものは海外(というかアメリカ)ではまだまだ入手できそうな印象。ルース(開封済みでパッケージなし、付属品も不揃いで袋詰されているもの)で、キャラクターも限られてはいたが、ヴィンテージ・ケナーのフィギュアは相当売られていた(もう少し買ってもよかった、なかなかない機会だった)。

 3ヶ月経った今、こうして思い返しながら書いているだけでも楽しい。2008年の開催時に行かなかったことをずっと後悔していたが、今回が初めての体験でかえってよかったのではないかとも思う。こうすればよかった、という反省点は多いが、行ってみて初めてわかることも多い。この経験が今後役立つこともあるだろう。次回のロサンゼルス開催にもぜひとも行きたいものである(彼の地で暮らす全てのひとに平穏あれ)。そのときはぜひ会いましょうという約束も何人かとしてしまっている。約束はできる限り守らなければならないな。

 自分の23年のSW歴では、2002年に『クローンの攻撃』を劇場で観たことと、2004年に上野でSW展を見たことがその後を大きく決定づけた重大なポイントとして並んでいたが、このセレブレーションでの体験もそこに加わることになるだろう。この年齢でもまだSW観に大きな転換がもたらされるとは思わなかった。今や視界は開けて、可能性を感じている。本当にありがとう。