Gilgamesh

『エターナルズ』、とてもおもしろかった。最初は半分くらい知らない人だし、そこまで派手なヴィジュアルでもないのであまり期待していなかったのだが、ふたを開けたら『アベンジャーズ』よりもまとまりを感じる出来栄えであった。というか正直言ってMCUシリーズとしてはかなり良質。これだけ大所帯チームでありながら全員のキャラがよく立っていて、見終わったら全員に親しみが持てているくらいだ。ひとりひとりの能力が効果的に発揮されて、反目と絆といったチームの関係がストーリーにも繋がっている。

7000年前から地球に滞在している異星の超人たち、エターナルズ。その目的は地球に巣食っていた頂点捕食者デヴィアンツの討伐であり、それ以外のことでは人類への干渉が許されていない。だからこれまでMCUで描かれてきた危機には関わらず、サノスとの戦いにも加わることはなかった(このあたりの説明が簡潔で上手)。しかし、彼らはまさに人類の歴史の生き証人であり、その全てを間近で見守ってきたため、いつしか地球とそこで生きる人類を愛するようにさえなっており、そのことがやがて葛藤を生むことになる。超人たちのアクションや気が遠くなるほど巨大な存在も目を見張るが、なにより人類愛に満ちた物語だった。

7000年前からいるということで、物語は現代を主軸に置きながらも途中で過去のある時点を次々回想していくのだが、この構成がおもしろかった。そういえばこういうこともあった、あんなこともあったと思い出しながら、仲間が各地で再会し、そのたびにあいつはああいうやつだった、みたいなことも回想されていく。そのおかげで観ている側はひとりひとりのキャラやその関係性に理解が深められる。

全員よかったがお気に入りのキャラクターは怪力のギルガメッシュ。演じるのは韓国系アメリカ人のドン・リー(韓国映画ではマ・ドンソク名義)。このひとのことは高速鉄道の中で起こるゾンビ・パニックを描いた『新感染 ファイナル・エクスプレス』で知ったのだが、分厚くテーピングした素手でゾンビを殴り倒していく爽快なアクションと、強面な見た目とは裏腹な温かみとで気に入った。地元のお祭りにいそうなおっさん感もいい。もちろんギルガメッシュも拳でデヴィアンツを倒す怪力の持ち主である。マーベル映画でもいいキャラであった。