49: 『ゴーストバスターズ』
(2016年、ポール・フェイグ監督)

 友人から「『ジャングル・ブック』と『ゴーストバスターズ』の新作は旧作の方(『ジャングル・ブック』に関してはアニメ版)を観てからのほうがいいのか」と聞かれてちょっと悩んだ。 『ジャングル・ブック』はあとから昔のアニメを観て、その映像の違いを楽しむのも有りだろうし、『ゴーストバスターズ』だって予断無しで観ても楽しいかもしれない。ぼくはどちらも観たことがない彼を非常に恵まれていると思った。「初見の特権」があるからだ。別に韻を踏んでるわけじゃあないのだが、予備知識無しで初めて観たときの衝撃や興奮というのは予備知識無しで初めて観たときにしか味わえない。それはとても尊いもので何人たりとも侵せない特権だ。これだけかつての名作の続編やリメイク作が量産されるところまで来てしまった現代において、当の名作がまだ未見であるということがいかに幸運なことか。『スター・ウォーズ』が未見のひとがうらやましいくらいだ(というのは嘘ななんだ。これだけ積み重ねてきた自分とSWの関係はやはり何物にも代えがたいので)。 

 件の友人には「オリジナルを未見のままでも楽しめるけれど、余裕があれば旧作を観といてもいい」と伝えたものの、『ゴーストバスターズ』に関してはまだ少し考えてしまうところがあった。オリジナル作のキャストたちによるカメオ出演である。

 正直とてもカメオとは言えないレベルで際立っていた。ひとりひとり丁寧に見せ場があって、特にビル・マーレイはもはや立派な出演者のひとりである(あれは別格だろうけれど)。で、気になったのはこれをオリジナル未見のひとが観たらどう感じるだろうかというところ。いちいち名も無いタクシー運転手のおじさんにカメラが寄って、ほかの観客が喜びの声をあげたりしていたら、困惑するのではないか(さすがに察するだろうけれど)。本来はもっとさりげない、本当にカメオな登場の方が初見のひとも違和感なく観れるし、ファンは見つけてこっそり喜ぶってことができるから、いいんじゃないかなあと思っちゃうわけだ。カメオ出演だと思わなければいいのかな(ここは土曜の夜のコントに現れたゲストのようなものだと思うのが作品のルーツにも合う)。ともかく初見のひとがあれをどう感じるのかなあと、気になったのよ。

 カメオの是非はそれくらいにして、その登場の仕方は全員ベストでしたね。ここぞというところで現れるのが小憎い。個人的にはアニー・ポッツ目当てだったので、まだかまだかとスクリーンに眼を見張らせていた。ダン・エンクロイドもシガニー・ウィーバーもハマっていたし、アニー・ハドソンも良い役どころだった。故ハロルド・ライミスまでいるのがなんとも(ちなみにオリジナル・キャストの中では一番最初に登場する)。引退してしまったリック・モラニスを除いてちゃんと全員揃ってるところがうれしい。ただ、その圧倒的な存在感ゆえに上で書いたようなことが懸念されちゃうんだけれどね。 

 ケイト・マッキノン扮するホルツマン博士はオリジナルでライミスが演じたイーゴンのに相当する、バスターズの装備を開発するポジションなのだけれど、そのヴィジュアルがアニメ・シリーズのイーゴンを意識しているところがマニアックだったな。アニメのイーゴンの髪型、これどうなってんの?て思っていたけれど、実写化するとああなるのね。

 そういったところからも、シリーズへの愛に溢れていたし、今日の映像技術によって再解釈もしてくれる作品になっていたと思う。3D環境で鑑賞すると、まるでディズニーランドのホーンテッド・マンションのような、幽霊アトラクション気分が味わえるし(冒頭が幽霊屋敷で始まるのもその感覚にぴったり)、「半透明で発光するゴースト」というのは3D映像との親和性が高い。新しい映画体験ができるとともに、改めて旧作の良さも際立つという感じ。一作目を久しぶりに観たら、やっぱりアニー・ポッツが可愛かった。

(2016年9月16日)